一度は見てほしい!満月の夜に行われる神秘的なお祭り~タイ生まれタイ育ちのホワイティからスタッフブログ第3弾~

11月の満月の夜にタイ全土で行われる祭「ロイクラトン」。タイのお祭りの中でも、特に美しいお祭りとして有名で、その光景は、インターネットやSNSでも話題となるほどに幻想的。毎年、「ロイクラントン」を見るために世界中からたくさんの人々が訪れるほどです。今回は「ロイクラトン」について、アバイブーベ・ジャパンのスタッフでありタイ人であるホワイティがご紹介します。

 

 

-目次-

・神秘的な「ロイクラトン」とは

タイを好きな方が「一度は参加してみたい!」とその名前を挙げる「ロイクラントン」。毎年11月中旬ごろ、満月の満ち潮の夜に開催されるタイの伝統的で、ロマンティックなお祭りです。伝統的なタイの太陰暦の12月の満月の夜に行われるため、毎年開催日が異なりますが、2021年は11月19日に開催されました。
「ロイクラトン」は「ロイ=流す」「クラトン=灯篭」の二つの言葉を起源とし、水の女神様であるพระแม่คงคา「プラメーコンカー」への感謝の気持ちと許しを請うという意味、そして、自分が持っている苦しみ、悲しみを灯篭とともに川に流すという2つの意味があります。日本の灯篭流しと似ていますが、日本のものは死者の魂を弔って流すと聞いたので、意味合いが違いますね。
「ロイクラトン」の始まりはその昔、スコータイ時代の王様(พระมหาธรรมราชาที่ 1「マハータンマラーチャー1世。いわゆるพญาลิไท「リタイ」)が、満月の夜に船で仏足石に参拝に向かう際、自身の妃達に花と線香で飾られたクラトンを作るように命じた事から始まります。
王の第一夫人(ท้าวศรีจุฬาลักษณ์「ターオシーチュララック」いわゆるนางนพมาศ「ナーンノッパマス」)はとても貴重で特別な機会だと思い、年に一度の夜にだけ咲くといわれている「ゴームット」という特別な蓮の花の形でクラトンを作り、川に流しました。それが現代まで続くロイクラトンの起源とされています。

■左から順に
・ナーンノッパマス練り歩いた際の1枚
・ 夜マーケットの様子

・クラトンってどんなもの?

特別な蓮の花の形を模したクラトンは、バナナの茎の部分とバナナの葉、生花で作られます。出来上がったクラトンにお線香を三本とろうそくを1本立てたものが基本形。たまに、生花の部分にバタフライピーの花で彩りを添えて作ったクラトンもあり、とても綺麗です。ロイクラトンが近づくと、市場にはカラフルなクラトンがいたるところに並べられてとてもキレイです。
クラトン自体は気軽に屋台で買うこともできますが、材料を揃えて一から自分で作ることもできます。ハンドメイドのクラトンの造形の美しさを競うコンテストもロイクラトンの前に開催されています。
このクラトンの中に自分の中の悪いもの、不吉なものも一緒に流れてくれる様に、自身の髪や爪を切って入れる人もいれば、富が訪れるようにと願って小銭をタンブン(徳を積むこと)としてクラトンに入れて川に流す人もいます。
ただ、近年ではクラトンを川に流した後にゴミとなることが環境破壊に繋がるとされ、川に流した後に魚が食べてくれるパンや、水に溶ける氷で作るなど、環境保全を意識したものに変化しつつあります。
コロナ禍真っ只中の2020年は、クラトンを流す映像を見る形で参加する人も多かったようですが、2021年のロイクラトンは感染対策を行うなどの条件付きでの開催となりました。

 

■青・白バタフライピークラトン写真
※ 出典:YouTubeチャンネル「พาทำ พาเที่ยว」- https://www.youtube.com/watch?v=s9iefKMSm4M

■ 魚が食べられるクラトンを販売しているお店

 

・ロイクラトンは1週間続く!

時代とともに形を変えているロイクラトンですが、当日の夜は数えきれないほどの沢山の屋台が出ていて、待ちゆく人を楽しませています。もちろん、ハーブドリンクも屋台のあらゆるところで販売されていて、祭りで火照った体の熱を自然な形で癒してくれるため、多くの人が買い求めている姿を見ることができます。
「ロイクラトン」は、メインイベントの灯篭流しのほかにも様々なイベントがあります。おおよそ一週間ほど前から、様々な儀式やパレード、伝統的な踊りを披露したり、クラトンのコンテストや、美人コンテストを開催したり、毎日深夜まで続きます。
ちなみに、美人コンテストには、クラントンを作った王の第一夫人の名を冠にして開始されています、第一夫人はとても高貴な女性で才色兼備だったそうで、今もタイの人々の間で大人気です。そのため、この時期に開催される美人コンテストには第一夫人の名前が用いられているんです。
また、ロイクラトンの風習は家族や居住区などが協力して行う行事でもあります。そのため、協調性を高めることに繋がります。さらにタイでは川の近くにお寺があるので、クラトンを流すために、必然的にお寺に足を運ぶきっかけにもなり、タンブン(徳を積む)にも一役買っています。

 

■2014.11.06 Chulalongkorn大学へのロイクラトンイベント写真

・タイの若者にとっても大切な日である理由って?

伝統的な行事であるロイクラトンですが、実はタイの若者にとってもとても大切な日。というのも、この日は「愛を告白する日」でもあるのです!これは、妃たちが、王を喜ばそうとクラトンをこぞって川に流したことに由来するそうです。クラトンが輝きを放ちながら川を流れる幻想的な場所で、愛の告白をするなんてロマンティックですよね。
また、タイでは恋人同士でロイクラトンを楽しむのが主流。彼を思いながら、クラトンを作る女性も多いとか。ロイクラトンは別名恋人の日と呼ばれているのも納得ですよね。

・ロイクラトンとコムローイは同じお祭り?

「ロイクラントン」はタイ全土でさまざまな催しが開かれますが、特に発祥の地であるスコータイやバンコク、チェンマイなどで開かれるイベントが有名です。
チェンマイでは、ロイクラントンと同時期に開催される、ランタンが空を埋め尽くすコムローイがあります。残念ながら2021年は中止となりましたが、ロイクラントンとコムローイはどちらも大人気。最近では、ディズニー映画の「塔のラプンツェル」のモチーフの一つにもなったとか。時折、ロイクラトンとコムローイが同じ祭りだとか、コムローイはロイクラトンの一部といった紹介されることもありますが、ちょっと違います。
ロイクラトンは、川の女神に感謝の気持ちを込めて灯篭を流す祭りですが、コムローイは、天上のブッダに感謝を込めてランタンを飛ばすお祭りです。また、ロイクラトンはスコータイが発祥の地ですが、コムローイは昔からのラーンナー地域(現在ではタイ北部の8県:チェンマイ県、チェンラーイ県、ラムプーン県、ラムパーン県、ナーン県、パヤオ県、プレー県、メーホンソーン県の領域)が発祥の地。似ているようで全く違うお祭りなんですよ。

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今回は、タイの幻想的なロイクラトンについてご紹介しました。ロイクラトンが行われる11月は、乾季で過ごしやすく、タイを訪れるには絶好の時期です。コロナ禍から抜け出して、気軽に海外旅行が楽しめるようになったら、ぜひ一度ロイクラトンの時期にタイを訪れてみてくださいね。きっと一生に一度の思い出になりますよ。

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