タイの伝統医学についてお伝えする「健康はハーブで作る!タイの伝統医学に学ぶ健康の知恵」の第6回。
前回は、タイ伝統医学と中医学の深い関わりについてお伝えしました。多民族国家であるタイは華僑系の人も多く、症状や体質に合わせて、タイ伝統医学と中医学を生活の中に上手に取り入れていることをお話しました。さらに、タイ政府も未病予防としても大きな効果が期待できるタイ伝統医学の価値を見直し、伝統医学の復興を推進しています。
そこで今回は、タイ政府がタイ伝統医学と共に目指している未来のお話をご紹介します。タイ保健省がタイ伝統医学を今もなお重んじているわけや、タイならではの独特な制度、タイ伝統医学を用いた、新型コロナウイルスとの戦いなどをアバイブーベならではの視点でお伝えします。
さらに、番外編として、タイ伝統医学のベース「4つのタート」についても詳しくご紹介していますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
-目次-
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①今、タイ保健省が力を注ぐ未病予防とタイ伝統医学
コロナウイルスが流行し、近年こんなにも健康を維持することの大切さや難しさを痛感したことはないですよね。
特に、基礎疾患のある方が感染すると重症化しやすいことがわかっており、例年以上に健康診断の結果が気になった方も多いのではないでしょうか?基礎疾患とは、厚生労働省が示す14の病気または状態と、BMI30以上の肥満の方のこと。慢性的な病気もあれば、生活習慣からくる病気も含まれています。肥満、高脂血症、糖尿病、高血圧などがこれにあたりますね。そのため、日頃の生活を見直し、基礎疾患のリスクを軽減することが注目されています。
これは、タイでも同じで、基礎疾患のリスクを少しでも減らそうと、国を挙げての対策が行われています。
数ある生活習慣病の中でも、最も深刻なのが糖尿病患者の増加です。甘いものを好むタイ人は糖尿病に罹患している人が400万人以上ともいわれています。これは、あくまでも病院で診断を受けている人の数であり、未診断の患者の数を加えられれば、さらに増加すると考えられます。そこで、タイ政府は少しでも糖分の接種を減らそうと、砂糖入飲料の税金を数年ごとに引き上げる対策をとるなど、様々な施策を掲げて対処しています。糖分の摂取量を物理的に減少させる施策と共に行われているのが、タイ伝統医学を用いた未病予防の取り組みです。未病とは「発病には至らないものの健康な状態から離れつつある状態」のこと。未病の段階で、生活習慣を改善することで、本格的な病気へと移行することを防ごうという考え方が「未病予防」です。
タイ保健省では、生活習慣の改善を促進すると共に、人々の生活に深く根づいている「タイ伝統医学」の力を利用して、身体の内側から健康を推進するための研究を始めました。その研究の中核を担うのが、アバイブーベ病院内に併設された、タイ伝統医学研究所。タイ伝統医学の研究拠点として認定を受け、様々な大学と連携しながら、「タイ伝統医学」を科学的、学術的に検証し、タイで最も深刻化している糖尿病をはじめとした生活習慣由来の疾患に、タイハーブを用いる臨床研究などを日々進めているのです。
②タイハーブを用いた新型コロナウイルス対策
アバイブーベ病院のタイ伝統医学研究所では、タイ保健省と共に、新型コロナウイルスへのハーブの活用の研究も進めています。ハーブを摂取することで、免疫機能を向上させる感染予防としてはもちろん、治療薬として活用する研究が行われており、いくつかのハーブの有効性が報告されています。
例えば、ハーブティーとして人気の「エンブリカ」もその一つ。「エンブリカ」に含まれるフラボノイドの一種である「フィラエンブリシンB」「フィラエンブリノール」がCovid-19を分解し、「フィラエンブリシンG7」がウィルスの肺への侵入を防ぐほか、抗酸化物質の含有率が高いため、免疫力を高める効果が期待できるとされています。
さらに、タイでは風邪に効くハーブとして知られている「ファータライジョーン」に対する研究も進められています。日本ではまだ入手が難しい「ファータライジョーン」ですが、タイでは「風邪をひいたらファータライジョーンを飲め」といわれるほど、一般的なハーブの一つで、天然の抗菌薬ともいわれています。さらに、2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)に対し、効果を発揮した実績もあります。
今、改めて注目を集めている「ファータライジョーン」は、呼吸器系の感染症ウィルスが、肺に侵入するのを防ぐ効果が期待できるとされています。すでに、タイの一部の病院では、新型コロナウイルス感染症の初期段階の患者に投与する臨床試験が行われており、一定の効果をあげているとの報告がされています。
新型コロナウイルスに対する特効薬が存在しない今、最も注目を集めているハーブといえるでしょう。
「エンブリカ」と「ファータライジョーン」がもつ感染症に対する効果効能については、引き続き様々な研究が進められています。今後も、有益な情報が入りましたらご案内いたしますね。
③「民間治療師」制度で地域医療を支える
「タイ伝統医学」はタイの人々にとって、とても身近なもの。体調や体質に合わせて、身近なハーブを摂取することで、病を治そうとしてきました。特に、医療資源の乏しい地域では、伝統医学は重宝されているだけでなく、欠かせないものとして存在しています。そこで、タイ伝統医学および代替医療部門局・厚生省は、正しい伝統医学の知識を持った人々を「民間治療師」として認定する制度を2016年にスタートしました。
タイ伝統医学を学び、地域医療を支えてきた人々を「民間治療師」として認定することで、職業として成り立つ上に、医療資源が乏しい地域であっても、正しい知識を持った「民間治療師」による適切な医療が提供できるようにするためです。
「民間治療師」として認定されるには、伝統医学に対して、幅広く深い知識や経験が求められます。「民間治療師認定についての厚生省の規則に従った民間治療師認定のためのマニュアル 」に沿って認定され、2019年までには全国で1791名の「民間治療師」が認定され、タイの各地で地域医療を支えています。
④タイ伝統医学が目指す未来とは
タイの人々にとって、最も身近な医療である「タイ伝統医学」。あまりにも身近なものであるがゆえに、注目されない時期もありました。
しかし、今。「タイ伝統医学」の価値に気が付いたタイ政府は、保健省を通じて「タイ伝統医学」を復興・保護しながら、国を挙げて様々な研究を進めることで、ひとつの医学としてより確立するべく奔走しています。時には、西洋医学や、中医学と連携しながら、「タイ伝統医学」はこれからも常に発展し続け、人々の健康を支える大きな柱として成長していくことでしょう。
私たちアバイブーベも、タイ伝統医学の発展を支えるとともに、これからも様々なプロダクトを通じて、より多くの方々が健やかに過ごせるお手伝いをしてまいります。
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番外編 ~4大タートが一目でわかる!一覧表~
タイ伝統医学を語る上で外せない「4大タート」。前回少しご紹介しましたが、今回は少し掘り下げて、それぞれが持つ特徴や要素などを一覧表にしてお届けします。
生まれ月のタートの影響を受けるのは13歳ごろまでといわれています。その後は、生活環境等の様々な要因で影響を受けるタートが変化していくため、診断が必要になります。
タート 土 生れ月 11・12・1月 解説 固体の構成要素で、 硬性、持続性、耐久性などの
性質をもつ(20種類)
要素 髪、毛、爪、皮膚、筋肉、腱、 筋膜、骨、骨髄、歯、心臓、肺、
肝臓、脾臓、腎臓、胃、腸、
新しい食物、古い食物(排泄物)、
脳・脊髄
特徴 体が大きく、皮膚も厚く、 骨太で、声が大きく、堅実です。
タート 水 生れ月 8・9・10月 解説 液体の構成要素で、浸透性、流動性、 物質を流動させる媒体としの性質を持つ
(12種類)
要素 涙、唾液、鼻水、胆汁、痰、 リンパ液、血液、汗、脂肪、
脂肪油、関節液、尿
特徴 体格は均整がとれ、肌は張りがあります。 目は魅力的、髪につやがあります。
声もきれいで、動作はおだやかです。
子沢山です。
タート 風 生れ月 5・6・7月 解説 体内のエネルギーの運行、 循環システムの要素(6種類)
要素 体内を上昇する風、体内を下降する風、 腸の中の風、腸の外の風、
体内全体の風、呼吸の風
特徴 乾燥肌で、痩せていて、髪は薄く、 動くと関節が鳴ります。
うらやましがり、臆病で、熱し易くさめ易い、
寒さに弱く、寝つきが悪い、よく喋る、
声は低く、聞き取りにくいとされます。
タート 火 生れ月 2・3・4月 解説 温めたり、熱くしたり、 燃焼したりするエネルギーの要素
(4種類)
要素 体温、熱暑、衰退、消化 特徴 暑がり、よく喉が渇く、食欲旺盛、 髪の良く伸びるるが禿げやすいとも。
忍耐力がなく、関節ははずれ易い、
体臭が強く、性欲は普通です。
- <季節ごとにかかりやすい病>キムハルロゥー(4・5・6・7月):夏は火による病になりやすい
- ワッサンルドゥー(8・9・10・11月):雨季は風による病になりやすい
ヘーマンルロゥー(12・1・2・3月):冬は水による病になりやすい※生まれ月は、タイで生まれた方を対象としております。日本とは気候が異なるため、参考としてご覧頂ければ幸いです。6回にわたってお届けしてきました「健康はハーブで作る!タイの伝統医学に学ぶ健康の知恵」は、今回を持ちまして最終回となります。最後までご覧いただきありがとうございました。
これからも、アバイブーベならではの視点で様々な情報をお届けしていまいります。今後とも、アバイブーベのブログをよろしくお願いいたします。
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