健康はハーブで作る!タイの伝統医学に学ぶ健康の知恵  ー第4回 西洋医療とタイ伝統医療の共存できる理由って?ー

タイの伝統医学についてお伝えする「健康はハーブで作る!タイの伝統医学に学ぶ健康の知恵」の第4回。

タイの日常生活の中で脈々と受け継がれ、密着している伝統医学の知恵。アバイブーベを筆頭にマヒドン、シリラートをはじめとした、一部の病院では西洋医学の治療だけではなく、タイ伝統医学の治療を受けることができます。西洋医学と伝統医学、どちらの治療を受けるのかをどうやって決めているのか、興味がありますよね。そもそも、西洋医学と伝統医学が一つの病院で共存できていることも、不思議ではありませんか?

そこで今回は、タイにおける西洋医学とタイ伝統医学が共存している理由について、そして、どちらの治療を受けるのかを決めるのは誰か?を解説します。

あわせて、番外編として、タイならではの挨拶「合掌(ワイ)」のお話もご紹介しますので、どうぞ、最後までお付き合いいただければ幸いです。

 

 

-目次-

①共存の理由を知るには、先ずはタイの教育事情から・・・

西洋医学とタイ伝統医療が共存している理由を理解するには、まずタイ独特の教育事情を知っておくとわかりやすいかもしれません。

タイは、学歴社会のため、総じて就学率が高いことで知られています。また、就職の際には日本と異なり、ほとんどの会社が募集時に学部や専攻の制限を設けます。例えば、銀行の人材募集は、財政分野に関する学部の卒業生に限定されるため、学歴だけでなく、何を学んだかが将来に大きな影響を及ぼします。

そのため、タイでは義務教育が終了する高校生になると、自分の将来設計に合わせて、以下の3つの専攻のなかから1つを選んで学ぶようになります。

1. 理数科/学習計画(Science-Math)
2. 英語数学/学習計画(Arts-Math)
3. 英語・言語科目/学習計画(Arts-Arts)
(日本語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語、スペイン語など、それぞれの学校によって学べる言語を専攻科目として選択します)

医学部を目指す学生は、1の理数学集計画を選択することが必要で、他の計画を選択すると、基本的に医学部への受験は難しくなります。

医者や看護師など、医療分野に就職するためには、高校1年生の時点で明確な目標を持っていることが必然的に必要となります。

さらに、大学入学試験の時点で、通常の学科試験のほかに、医学的適性の専門科目があり、基礎知識や医療倫理、適性検査試験を受ける必要があります。

このように、タイでも日本と同様、医学部へ入学するには、非常にハードルが高い試験を突破しなければいけません。そして、無事試験を突破した学生は、西洋医学が学べる医学部(6年制)と、タイの伝統医学(4年制)を学べる伝統医学部、西洋医学と伝統医学の橋渡しになるような人材を育成する、タイ伝統応用医学部のいずれかの学部に進むようになります。ちなみに、タイ伝統医学部とタイ応用医学部は、制度上、外国人の入学はできなくなっています。

伝統医学部では、解剖学など、医学の基礎科目を学ぶのはもちろん、実際に山に入り野生のハーブを観察したり、自分たちでハーブを育てる体験を通じて、ハーブの力をリアルに体験します。さらに、4年生になると、伝統医学が代々受け継いできた産後ケアのマッサージやハーブ療法について学ぶことができます。

ちなみに、タイのプラファ大学にあるタイ伝統医学部では、アバイブーベとタイ王立学院によるカリキュラムを立てているんですよ。

医学部ではドクター(博士号)、伝統医学部ではマスター(修士)を取得することができます。伝統医学部を卒業した学生は、伝統医学の診療科を持つ病院で経験を積んだ後、国家試験を受け、伝統医学医として資格を有することになります。

余談ですが、医学部では、基本的にタイ伝統医学を学ぶことができません。もちろん、タイ伝統医学部や、応用医学部は、西洋医学的治療を行うこともできません。どちらの資格も取得したい場合は、再度学び直す必要があります。

②タイの伝統医療が西洋医療と共存できる理由

日本では、西洋医学を学び、試験に合格した者のみ医師としての開業を許可するという政策のため、医学部=西洋医学の学びの場となっています。しかし、タイでは、伝統医学部で、伝統医学専門とした人材を育てています。また、タイ応用医学部で、伝統医学と西洋医学双方の良い点を取り入れた医学を学ぶことで、橋渡し的な役割ができる人材も育てています。いずれも国家資格のため、国が認めた医療として確立されています。そのため、全ての病院にあるわけではありませんが、一部の病院では、西洋医学の診療科と、タイ伝統医療の診療科が併設されています。併設されている病院では、どちらの治療を受けるかは自分自身で選択することができるのです。患者の意思が尊重されているんですね。

さらに、どちらか一方の治療しか選択できないというわけではなく、外科的手術を受けた後のケアを、伝統医療で受けたいといった要望にも応えてくれます。また、伝統医療で治療を受けてきたが、外科的治療がどうしても必要といった場合は、西洋医学と伝統医学の知見がある応用医学の医師が間に入り、橋渡しをしてくれることもあります。もちろん、その逆に、西洋的治療で改善されないため、伝統医療の治療に切り替えるといったケースもあります。

お互いのメリット・デメリットを把握しているからこそ、西洋医療と伝統医療が上手く共存しているタイ。これからも、優劣をつけることなく、互いを補いながら、タイの人々の健康を様々なアプローチで支え続けていくに違いありません。

番外編 ~タイの挨拶「合掌(ワイ)」って?~

タイを訪れると、タイの人々がにっこりと笑顔で合掌をして出迎えてくれることがありますよね。時代が変わり、ワイをしない若い世代も増えてきたそうですが、タイではもともと、
小さい頃から学校などでも、最も重要かつ基本的な挨拶として教えられてきているもの。

ワイは、合掌する位置にも意味があります。

①最上級の礼節を伴うワイ
合掌した親指を眉間につけ、深くお辞儀をします。仏様やお坊さんに対して行われます。

②目上の人へのワイ
合掌した親指を、鼻につけ、やや深めにお辞儀をします。

③同格の人へのワイ
胸の前で合掌をして、浅くお辞儀をします。

この時、しっかり脇を占めるようにしましょう。良家の子女などは、美しいワイの所作をしっかりと指導されるそうです。

ちなみに、ただ手を合わせるだけでなく、ふんわりと手と手の間にわずかに隙間を作るのがポイントです。これは、ハスの花をイメージしているとか。蓮の花は、「蓮華の五徳」といわれる五つの徳が備わっていて、この五つの特徴を私達が持てば極楽に生まれることができるといわれ、仏様のいる世界(浄土)には蓮華が咲いていると信じられるほど、仏教とかかわりが深い花。仏教国のタイならではのエピソードですね。

今回は、西洋医学とタイ伝統医療が共存できている理由をご紹介しました。非常に奥深い世界であるタイ伝統医療。今後も月1回のペースで角度を変えてご紹介していきますので、お楽しみに。

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